
整骨院の廃業率はなぜ高い?失敗する院の共通点と生き残る経営戦略
整骨院の廃業率はなぜ高い?失敗する院の共通点と生き残る経営戦略
「整骨院の廃業率は高い」という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。開業を検討している方にとっても、すでに開業している方にとっても、廃業のリスクと原因を知ることは経営を守る第一歩です。
本記事では、整骨院の廃業率の実態を最新の統計データで確認した上で、廃業する院に共通する5つのパターンと、生き残る院が実践している具体的な経営戦略を解説します。
整骨院の廃業率はどれくらい?最新データで解説
施術所数の推移と廃業の実態
厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、柔道整復の施術所数は令和2年度時点で全国に約50,000箇所(50,364箇所)に達しています。この10年で大幅に増加しており、新規開業が続いている一方で、毎年一定数の廃業も発生しています。

整骨院に限定した廃業率の公式統計は存在しません。参考となるのは中小企業庁の統計で、中小企業白書では会社全体の3年後生存率は約88%(廃業率12%程度)である一方、個人事業者層では3年後の廃業率が約40% に達するとの調査もあります。整骨院の多くが個人事業主として開業する実態を踏まえると、後者の数字が実感値に近いと考えられます。
数字の幅はありますが、開業3年以内に相当数の整骨院が閉院していることは、業界の競争環境と後述する廃業パターンからも説明がつきます。
開業3年以内の廃業が多い理由
廃業が開業初期に集中する理由は明確です。

- 開業資金の返済が始まる: 融資の返済が月々10〜20万円。売上が安定しないうちは資金繰りが厳しい
- 固定費が重い: 家賃・人件費は患者数に関係なく発生する
- 集客の仕組みがない: 開業前の準備不足で、患者が集まらない期間が長引く
逆に言えば、開業3年を乗り越えた院は5年・10年と存続する確率が高いです。最初の3年をどう乗り越えるかが勝負です。
廃業する整骨院に共通する5つのパターン
廃業に至る院には、驚くほど共通したパターンがあります。施術の腕が悪いから廃業するのではなく、経営の仕組みが整っていないことが原因です。

集客を紹介と口コミだけに依存
「腕が良ければ患者は来る」「口コミで自然に広がる」——この考えで開業すると、初期の集客で苦戦します。競合院が密集する現在、待ちの姿勢だけでは患者は来ません。
開業前からMEO対策・SNS・チラシなど複数の集客チャネルを準備している院と、口コミ頼みの院では、開業後の立ち上がりスピードに大きな差が出ます。
経営数値を把握していない
「今月の売上はいくらか」「1日の平均患者数は何人か」「自費と保険の比率はどうなっているか」——こうした基本的な経営数値を把握していない院は、問題の早期発見ができません。
月次の損益を把握していなければ、「気がついたら赤字が3ヶ月続いていた」という事態が起きます。数値管理は施術と同じくらい重要な経営スキルです。
患者管理がアナログで非効率
紙カルテ・紙の予約台帳・手書きの日報——これらのアナログ管理は、患者数が少ないうちは回りますが、1日15名を超えると破綻し始めます。
「予約の取りこぼし」「カルテの検索に時間がかかる」「患者の来院履歴がすぐに出ない」——こうした非効率の積み重ねが、施術時間を圧迫し、患者体験を低下させ、リピート率の低下につながります。
自費メニューへの転換が遅れる
療養費の審査は年々厳格化しており、保険施術だけで経営を維持するのは難しくなっています。自費メニュー(骨盤矯正・姿勢改善・スポーツケア等)への転換が遅れると、単価の低さが経営を圧迫します。
保険施術の平均単価が500〜1,000円なのに対し、自費メニューは3,000〜8,000円。同じ患者数でも、自費比率が高い院は売上が2〜3倍になります。
スタッフ教育・離職に対応できない
スタッフを雇用した場合、教育コストと離職リスクが経営に影響します。特に「施術は教えるが経営や接客は教えない」パターンでは、スタッフの不満が溜まり離職率が高くなります。
1人のスタッフが離職した場合の採用・教育コストは50〜100万円とも言われます。離職を防ぐ仕組みがないと、人件費が利益を食いつぶします。
生き残る整骨院がやっている3つのこと
廃業率の高い業界で生き残っている院には、共通する経営の仕組みがあります。

データに基づく経営判断
生き残る院は、月次の売上・患者数・リピート率・自費比率を数値で把握し、データに基づいて判断しています。
- 月商が前月比10%以上下がったら原因を分析する
- リピート率が70%を切ったらフォローの仕組みを見直す
- 自費比率が30%を切ったらメニューの見直しを検討する
「感覚」ではなく「数値」で経営を管理する文化が、早期の軌道修正を可能にします。
業務効率化による施術時間の確保
予約管理・カルテ記録・レセプト作成に1日2時間かかっている院と、30分で終わる院では、1日あたりの施術可能人数に3〜5名の差が出ます。
この差は月商にして30〜50万円のインパクトです(単価5,000円 × 追加3名 × 25日 = 37.5万円)。

業務効率化は「楽をするため」ではなく、施術時間を確保し売上を最大化するための経営判断です。
患者体験の向上(予約〜アフターフォロー)
生き残る院は、施術の質だけでなく患者体験全体を設計しています。
- 予約: 24時間Web予約可能。電話の手間がない
- 来院: 待ち時間の最小化。予約管理の精度が高い
- 施術後: 次回予約をその場で確定。リマインド通知で忘れ防止
- フォロー: 来院間隔が空いた患者に自動でメッセージ配信
これらを一つひとつ手作業でやるのは現実的ではありません。予約・カルテ・顧客管理を一元化したシステムがあって初めて、患者体験の設計が実現します。
予約システムの選び方と導入効果については「整骨院の予約システム比較|導入メリット・費用・失敗しない選び方」で詳しく解説しています。
まとめ
整骨院の廃業率について、本記事のポイントを振り返ります。
- 廃業率の実態: 整骨院限定の公式統計はないが、個人事業者の3年後廃業率は約40%に達するとの中小企業庁データもあり、競争環境は厳しい
- 廃業の5パターン: 口コミ依存、数値不把握、アナログ管理、自費転換の遅れ、離職対応不足
- 共通するのは「施術力不足」ではなく「経営の仕組み不足」
- 生き残る3条件: データ経営、業務効率化、患者体験の設計
整骨院の廃業を防ぐカギは、施術の腕を磨くことと同時に、経営を仕組み化することです。特に開業3年以内は、集客・業務効率化・患者管理の仕組みを早期に整えることが、存続と成長の分かれ道になります。
開業準備の全体像は「整骨院の開業完全ガイド|資格・届出・資金・集客まで全手順を解説」をご覧ください。
廃業リスクを減らす、経営の仕組みを。
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