
鍼灸院の自律神経系メニュー設計|問診票・症状チェック・料金/回数設計の型【2026年版】
鍼灸院の自律神経系メニュー設計|問診票・症状チェック・料金/回数設計の型【2026年版】
鍼灸院の自律神経系メニューは、症状チェックを組み込んだ問診票・単発と回数券の料金設計・経過スコア記録の3点で組み立てます。自律神経の乱れによる不調(不眠・倦怠感・のぼせなど)を目的とするメニューは、はり・きゅう療養費の支給対象6疾患(神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症)に含まれないため、原則として保険適用外の自費メニューとして設計します(厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費」)。あわせて、あはき法第7条は施術所が広告できる事項を限定列挙しており、「自律神経失調症が治る」といった効果効能の標榜はできません(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 第7条)。本記事は院側の運用として、問診票・料金/回数・経過記録の型を自社整理のテンプレートで示します。
鍼灸院の自律神経系メニュー設計とは|自費メニューが前提
自律神経系メニューとは、自律神経の乱れに伴う不調(睡眠・疲労・冷えやのぼせなど)の相談を受け、体の状態に合わせて施術計画を組み立てる自費のメニュー区分です。療養費(保険)の対象は前述の6疾患に限られ、いずれも医師の同意書が支給の前提になるため、自律神経の調整を主眼とするメニューは自費として設計します(厚生労働省 療養費の支給基準)。保険と自費の全体像は鍼灸院の保険適用と療養費請求の全体像にゆずり、本記事は自費メニューの設計に絞ります。

設計3点セットの早見表
自律神経系メニューは、次の3つの様式をそろえると迷わず運用できます。
| 要素 | 用意する様式 | 目的 |
|---|---|---|
| 症状チェック問診票 | 主訴・既往・同意+自律神経の確認軸 | 施術方針を決める状態の記録(診断ではない) |
| 料金設計 | 単発・回数券・継続メンテの料金レンジ | 自費メニューの価格を事前提示する |
| 経過スコア記録 | 主観症状・睡眠・来院間隔の推移 | 再来・離脱の予兆を把握する |
問診票・症状チェックシートの作り方
自律神経系メニューの問診票は、共通の土台に自律神経の確認軸を足し、症状チェックとしてスコア化するのが基本の型です。

初回問診で必ず聞く必須ヒアリング項目リスト
初回問診では、主訴・既往歴・服薬・同意という全メニュー共通の土台に、自律神経の状態を確認する軸を加えます。
| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 土台(全メニュー共通) | 主訴・既往歴・服薬・施術への同意 |
| 睡眠 | 寝つき・中途覚醒・熟睡感 |
| 心身の状態 | 疲労/倦怠感・気分・集中力 |
| 自律症状 | 動悸・のぼせ・冷え・胃腸の調子 |
| 生活の背景 | 症状の出やすい時間帯・ストレス要因・生活リズム |
自律神経の症状チェックシートの型(15項目・4段階スコアの雛形)
症状チェックシートは、施術方針を決めるための状態の記録であり、診断ではありません。はり師・きゅう師は診断や病名の断定を行えず、診断は医師のみができる医行為です(医師法第17条)。そのためシート名や設問は「自律神経失調症の診断/判定」ではなく、状態を記録する表現にとどめ、強い症状や器質的な疾患が疑われる場合は医療機関の受診をおすすめする案内を併記します。
| 領域 | 項目例 | 記録 |
|---|---|---|
| 睡眠 | 寝つき・中途覚醒・熟睡感 | 4段階(0〜3) |
| 疲労・気分 | 倦怠感・気分の落ち込み・集中力 | 4段階(0〜3) |
| 自律症状 | 動悸・のぼせ・冷え・胃腸の調子 | 4段階(0〜3) |
上表は自社整理の設計例で、公的統計に基づく標準値ではありません。スコアは症状の程度を記録する目安です。
紙の問診票を電子問診に載せ替える手順
紙の問診票は受付での記入・転記に時間がかかり、経過の比較もしにくくなります。紙様式の項目を選択式の設問に整えて事前のWEB問診に載せ替えれば、来院前に回答を受け取り、症状チェックのスコアをそのまま記録・比較でき、受付時間の短縮にもつながります。
料金・回数設計の型
自費メニューの料金は、単発・回数券・継続メンテの層をあらかじめ設計し、回数の考え方とセットで提示します。

単発・回数券・継続メンテの料金レンジと設計根拠
料金は、お試しや不定期利用の単発、初期集中期向けの回数券、維持期の継続メンテの2〜3層で組み立てます。金額は各院の相場・コストで決めるもので、外部の確定値ではありません。
| 層 | 位置づけ | 料金の考え方(自社整理) | 回数の目安 |
|---|---|---|---|
| 単発 | お試し・不定期 | 1回あたりの通常料金 | 都度 |
| 回数券 | 初期集中期 | 単発より1回単価を抑えた前払い | 週1〜2回 |
| 継続メンテ | 維持期 | 維持向けの単価 | 月1〜2回 |
自費メニューの料金設定と回数券の組み方は整骨院の自費メニュー設計・料金設定も参考になります。
初期集中期→メンテ期で組む回数設計の考え方
回数は、状態を整える初期集中期(週1〜2回)と、維持するメンテ期(月1〜2回)に分けて組み立てます。これらの頻度・期間は自社整理の設計目安であり、効果が出るまでの回数や改善率を保証せず、施術計画の提案として説明します。
回数券の前払い・中途解約・返金で押さえる注意点
回数券は前払いのため、有効期限・中途解約時の未使用分の取り扱い・返金条件を、規約と書面で事前に明示します。特定商取引法の特定継続的役務提供(中途解約権・清算のルール)の対象はエステティックや美容医療など7役務に限られ、鍼灸院の施術は含まれません(消費者庁 特定商取引法ガイド)。そのため回数券に「クーリングオフできる」「特商法で中途解約清算が保証される」と表示しないよう注意します。一方で「未使用分は一切返金しない」といった消費者の利益を一方的に害する条項は、消費者契約法により無効となる場合があり、解約に伴う違約金も平均的な損害を超える部分は無効です(消費者契約法第9条第1号/消費者庁)。前払いチケットの一般的な運用は整骨院の回数券・前売りチケット運用にゆずります。
広告表現でやってはいけないこと(あはき法・医療広告の線引き)
自費メニューは自由に訴求できるわけではなく、院外向けの広告はあはき法の限定列挙の枠内で組み立てます。

「自律神経失調症が治る/効く」と標榜できない理由
あはき法第7条第1項は、施術所に関して広告できる事項を限定列挙し、それ以外は「いかなる方法によるを問わず」広告してはならないと定めています。広告できるのは、施術者の氏名・住所、業務の種類(はり・きゅう等の別)、施術所の名称・電話番号・所在、施術日・施術時間、厚生労働大臣が指定する事項などに限られます。さらに同条第2項は、広告する場合も施術者の技能・施術方法・経歴にわたってはならないとしており、「自律神経失調症が治る/改善する/効く」といった効果効能や特定疾患名の標榜は認められません。厚生労働省が令和7年2月に公表したあはき・柔整の広告ガイドラインも踏まえ、メニュー名や説明は「自律神経ケアメニュー(自費)」のように、治癒や効果を断定しない事実の記述にとどめます。詳しくは鍼灸院の広告規制と適法な集客表現を参照してください。
保険(療養費)との線引き=自費メニューである旨の明示
自律神経系メニューは自費であることを、料金表と同意書面で明確にします。療養費の対象6疾患で医師の同意書がある保険施術と自費メニューを取り違えないよう区別して案内し、患者が併用する場合も区分と費用を分けて記録します(厚生労働省 療養費の支給基準)。
患者管理システムで経過スコアを記録・可視化する運用例
症状チェックのスコアや来院間隔は、記録して推移を見える化すると、施術方針の見直しや再来フォローに活きます。

経過スコア(主観症状・睡眠・来院間隔)の記録項目と運用
経過スコアは、初回の症状チェックを来院ごとに再取得し、推移として残すのが基本です。記録項目は次の3系統に整理します。
| 記録項目 | 例 | 活用 |
|---|---|---|
| 主観症状スコア | 症状チェックの領域別・合計 | 施術方針の見直し |
| 睡眠・体調 | 睡眠の状態・倦怠感の変化 | 経過の可視化 |
| 来院間隔 | 前回来院からの日数 | 再来・離脱の予兆検知 |
再来・離脱の予兆を拾うフォロー(治療院HUBでの実装例)
治療院HUBは、症状チェックのスコア・体調・来院間隔を患者ごとに記録し、推移を可視化できる業務管理システムです。来院間隔が空いた患者を抽出してLINEで再来案内を送るなど、離脱の予兆に早く気づけます。保険請求(レセプト)は既存のレセコンがそのまま担い、治療院HUBは予約・患者管理・経過記録・再来フォローを受け持つ役割分担で併用できます。経過記録は施術方針を見直すための事務であり、施術効果を保証するものではありません。
よくある質問
Q1. 鍼灸院の自律神経系メニューは保険(療養費)で受けられますか?
原則として自費です。はり・きゅうの療養費の対象は神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6疾患に限られ、いずれも医師の同意書が前提となるため、自律神経の調整を目的としたメニューは基本的に保険適用外の自費として設計します(厚生労働省 療養費の支給基準)。
Q2. 「自律神経失調症が治る」と広告に書いてよいですか?
書けません。あはき法第7条により鍼灸院が広告できる事項は制限されており、施術の効果効能や特定の疾患が治る旨を標榜することはできません(あはき法第7条)。メニュー名や説明は、疾患の治癒を断定せず、施術内容や対象の状態を事実の範囲で示す表現にとどめます。
Q3. 自律神経系メニューの問診票に必須の項目は何ですか?
土台は主訴・既往・同意の3点です。これに加えて自律神経系メニューでは、睡眠・ストレス・生活リズム・症状の出やすい時間帯などの確認軸を症状チェックとして組み込み、初回問診で標準化してヒアリングします。症状チェックは診断ではなく、施術方針を決めるための記録です。
Q4. 自律神経系メニューの料金と回数はどう設計すればよいですか?
単発と回数券の2層を基本に、必要に応じて継続メンテを加えます。回数は初期集中期(週1〜2回)で状態を整え、メンテ期(月1〜2回)で維持する流れを前提に設計し、各層の料金レンジと目安回数をあらかじめ提示します。これらは自社整理の設計目安で、効果を保証する数値ではありません。
Q5. 回数券を販売するとき法的に注意する点はありますか?
前払いの回数券は、中途解約時の未使用分の取り扱い・返金対応・有効期限を、規約と書面で事前に明確にします。鍼灸院の施術は特定商取引法の特定継続的役務提供に含まれないため、クーリングオフや中途解約清算が保証されると表示してはいけません。一方で「一切返金しない」等の一方的な条項は消費者契約法上無効となる場合があるため、未消化分の精算方法を定めておきます(消費者庁/消費者契約法第9条第1号)。
まとめ
鍼灸院の自律神経系メニューは、症状チェック問診票・単発/回数券の料金設計・経過スコア記録の3点で設計します。自律神経の不調は療養費の対象6疾患に含まれないため自費として組み立て、症状チェックは診断ではなく施術方針のための記録として扱い、必要に応じて受診勧奨を併記します。料金は単発・回数券・継続メンテの層と回数設計で組み、回数券は有効期限・返金条件を書面で明示します。院外向けの広告はあはき法第7条の枠内にとどめ、効果効能や疾患名の標榜は行いません。経過スコアを患者管理システムで可視化すれば、再来フォローと離脱予防にもつながります。
自律神経メニューの設計と経過管理を、患者管理と一体で
治療院HUBは整骨院・鍼灸院向けの業務管理SaaSです。自費メニューの予約・回数券管理、症状チェックや来院間隔の記録、LINE再来案内までを一つに集約し、経過の可視化と再来フォローを支えます。保険請求(レセプト)は既存のレセコンがそのまま担うため、乗り換えずに併用できます。
料金・機能の詳細や無料での製品体験は、お問い合わせ・資料請求からご確認いただけます。
著者・監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
整骨院・鍼灸院向け業務管理SaaS「治療院HUB」を開発・運営。治療院の予約・患者管理、保険と自費の運用設計に関する情報発信を行っています。本記事はあはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)・厚生労働省の療養費支給基準・消費者庁等の一次資料に基づいて作成しています。


