
鍼灸・あはき療養費の同意書のもらい方|医師同意・6ヶ月再同意・様式の実務【2026年版】
鍼灸・あはき療養費の同意書のもらい方|医師同意・6ヶ月再同意・様式の実務【2026年版】
はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧(あはき)の療養費を保険で受けるには、施術の前に医師(保険医)から同意書の交付を受けることが支給の前提です。同意書がないまま施術を続けても、その分の療養費は支給されません(厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします」令和7年4月版)。
同意書は、患者・主治医・施術所の三者が連携して用意し、初療日または再同意日から6ヶ月を超えて施術を続ける場合は、あらためて医師の同意(再同意)が必要になります。本記事では、同意書のもらい方の3手順、記載事項、6ヶ月ごとの再同意と期限管理、様式の入手先までを、厚生労働省・地方厚生(支)局の一次資料で整理します。なお、対象となる6疾患やあはき保険の全体像は鍼灸院の保険適用と療養費請求の全体像にゆずり、本記事は同意書の実務に絞ります。
あはき療養費の同意書とは|医師の同意が受給の絶対前提
あはき療養費の同意書とは、医師が施術の必要性を認めたことを示す書面です。医科の保険診療のように医療機関へ直接支払われるのではなく、あはきの施術費は「療養費」として扱われ、その支給の入口に医師の同意書が置かれています。まずは同意書の基本を早見表で押さえてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象施術 | はり・きゅう/あん摩マッサージ指圧 |
| 交付する人 | 保険医(医師) |
| 交付の前提 | 医師の診察(無診察同意は不可) |
| 有効期間 | 初療日・再同意日から6ヶ月(変形徒手矯正術は1ヶ月) |
| 同意の形式 | 文書(同意書)が必要。口頭同意は不可 |
| 診断書での代替 | 所定要件を満たす診断書は同意書に代替可 |
出典:厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします」(令和7年4月版)、保険局医療課長通知「保医発0620第1号」(平成30年6月20日)。
同意書の定義と診断書での代替
同意書は、はり・きゅう用とあん摩マッサージ指圧用の所定様式が定められています。主訴を含む病名と発病年月日が明記され、保険者が施術対象の適否を判断できる診断書であれば、医師の同意書に代えることも可能です(保医発0620第1号 第3章)。診断書を用いる場合も、所定の様式を使用します。
柔整(整骨院)の医師同意との違い
柔道整復(整骨院)の療養費では、骨折・脱臼の継続施術などに医師の同意が求められる一方、負傷原因が明確な打撲・捻挫・挫傷には同意書は不要です(詳しくは整骨院の受領委任・療養費(保険)入門)。これに対しあはきは、はり・きゅう、あん摩マッサージ指圧のいずれも原則すべての施術で医師の同意書が支給要件になる点が大きく異なります。両者は別制度であり、同意のルールを混同しないことが大切です。
同意書のもらい方|患者・主治医・施術所の3手順
同意書は、施術所が単独で作成できる書面ではありません。患者が主治医を受診し、医師が必要性を認めて交付する——この流れを、施術所が支える3手順で進めます。

手順1 患者が主治医を受診して同意を得る
まず患者本人が保険医(主治医など)を受診し、施術への同意を依頼します。同意・再同意は医師が実際に診察したうえで行うものとされ、診察を伴わない「無診察同意」は認められていません(保医発0620第1号 第3章、療養担当規則第17条)。施術所は、受診の必要性を患者へ案内する立場になります。
手順2・3 所定様式に記入を受け、支給申請書に添付する
次に、はり・きゅう用またはあん摩マッサージ指圧用の所定様式を用意し、医師に記入・交付を依頼します。交付を受けた同意書は、療養費支給申請書に添付して保険者へ請求します。同意書は請求の根拠書類となるため、記載漏れや同意年月日の抜けがないかを受領時に確認します。
医師同意書の記載事項と有効期間
同意書には、患者情報から保険医の氏名までの記載欄が定められています。はり・きゅう用同意書のおもな記載事項は次のとおりです。

| 記載欄 | 内容 |
|---|---|
| 患者情報 | 住所・氏名・生年月日 |
| 病名 | 1神経痛 2リウマチ 3頸腕症候群 4五十肩 5腰痛症 6頸椎捻挫後遺症 7その他 |
| 発病年月日 | 発症した日 |
| 同意区分 | 初回の同意/再同意 |
| 診察日 | 医師が診察した日 |
| 同意年月日 | 医師が同意した日 |
| 保険医療機関 | 名称・所在地・保険医氏名(署名または記名押印) |
※「頸腕症候群」は「頸肩腕症候群」と記載しても差し支えありません。様式の記載項目をすべて満たしていれば、医療機関が独自の項目を加えることもできます(厚生労働省 所定様式)。
同意書の主な記載事項
病名欄は、はり・きゅうでは1神経痛から6頸椎捻挫後遺症までと「7その他」で構成されます。あん摩マッサージ指圧用の同意書では、病名に代えて筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮などの症状や施術部位、往療の要否を記載します。保険医の氏名は署名のほか、記名押印でも差し支えありません。
有効期間は6ヶ月(変形徒手矯正術は1ヶ月)
同意書に基づいて療養費を支給できる期間は6ヶ月です。ただしあん摩マッサージ指圧のうち変形徒手矯正術については1ヶ月とされ、はり・きゅうやマッサージと期間が異なります(令和7年4月版リーフレット)。三者を「すべて6ヶ月」と一括りにしないよう注意します。
6ヶ月ごとの再同意と期限管理
有効期間を超えて施術を続けるには、あらためて医師の同意(再同意)が必要です。ここを取りこぼすと、超過した期間の療養費は支給されません。

再同意のルールと口頭同意の廃止
再同意は、初療日または直近の医師による再同意日を起点として、6ヶ月を超えて施術を継続する場合に必要になります。期限の末日は、起点が月の15日以前か16日以降かで1ヶ月ずれる月単位の規定があるため、「同意書の日付から丸6ヶ月ちょうど」と単純化せず、通知の計算方法で確認します(保医発0620第1号 第5章)。かつて認められていた口頭による再同意は平成30年10月の改正で廃止され、現在は初回・再同意とも同意書(文書)の交付が必要です。
施術報告書は同意書とは別の書類
再同意にあたっては、施術者(はり師等)が作成する「施術報告書」により、医師が施術内容や患者の状態を確認して同意を判断するしくみが設けられています(保医発0620第1号 第3章)。施術報告書は施術者から医師への連携書類であり、医師が患者へ交付する同意書とは作成者も役割も異なります。両者を取り違えないようにします。
同意書様式の入手先と受領委任の申し出
同意書の様式は決まった入手先があります。実務では、様式の入手と受領委任の届出をあわせて押さえておくと迷いません。

様式の入手先(厚労省・地方厚生局・保険者)
同意書・診断書の所定様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードできるほか、地方厚生(支)局や保険者からも入手できます(厚生労働省 同意書の取扱いページ)。前述のとおり、記載項目をすべて満たしていれば、医療機関が独自の項目を加えることも可能です。診断書で代替する場合も、所定の様式を使用します。
受領委任を取り扱う場合の申し出
患者が窓口で一部負担金のみを支払い、施術所が残りを保険者へ請求する受領委任を取り扱う場合は、施術管理者が地方厚生(支)局へ申し出・登録することが前提になります(開業時の届出全体は鍼灸院の開業ガイドを参照)。取扱いの範囲や保険者ごとの運用は、最新の通知と各保険者の案内で確認してください。
再同意失念を防ぐ患者管理の仕組み
6ヶ月という期限は、施術が続くほど失念しやすくなります。期限切れは返戻・不支給に直結するため、記録と通知で仕組み化するのが安全です。

同意情報を施術録に紐付けて管理する
同意書の交付日・同意区分(初回/再同意)・有効期間の起点を施術録(カルテ)に紐付けて記録しておくと、更新のたびに履歴をたどれます(記録の電子化は鍼灸院の電子カルテ完全ガイドを参照)。負傷・症状の経過とあわせて残すことで、保険者からの患者照会にも備えられます。
期限アラートで再同意を仕組み化する
患者ごとに再同意の期限を管理し、満了が近づいたら通知する運用にすると、失念を人の記憶に頼らずに防げます。治療院HUBは、患者ごとの期限管理やアラート、施術録との紐付け、予約・回数券管理・LINE再来案内を一つに集約できる業務管理システムです。保険請求(レセプト)は既存のレセコンがそのまま担い、治療院HUBは期限管理や患者管理を受け持つ役割分担で併用できます。期限管理はあくまで事務作業の抜け漏れ対策であり、療養費の支給可否そのものは医師の同意と保険者の判断によります。
よくある質問
Q1. あはきの療養費に医師の同意書は必ず必要ですか?
はい。はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧の療養費を保険で受けるには、あらかじめ医師(保険医)から同意書の交付を受けることが支給の前提です(厚生労働省 令和7年4月版リーフレット)。所定要件を満たす診断書であれば同意書に代えることもできます。柔道整復(整骨院)と異なり、あはきは原則すべての施術で医師の同意が必要です。
Q2. 同意書の有効期間と再同意のタイミングは?
同意書に基づき療養費を支給できる期間は6ヶ月で、初療日または直近の再同意日を起点に、これを超えて施術を続ける場合は再同意が必要です。ただしあん摩マッサージ指圧の変形徒手矯正術は1ヶ月です(令和7年4月版リーフレット)。期限の末日は月単位の計算規定があるため、通知に沿って確認します。
Q3. 口頭で同意をもらえば療養費を請求できますか?
できません。かつての口頭による再同意は平成30年10月の改正で廃止され、現在は初回・再同意とも同意書(文書)の交付が必要です。また、医師が診察せずに同意する無診察同意は認められていません(保医発0620第1号 第3章)。
Q4. 同意書の様式はどこで入手できますか?
同意書・診断書の所定様式は、厚生労働省のホームページのほか、地方厚生(支)局や保険者から入手できます(厚生労働省 同意書の取扱いページ)。記載項目をすべて満たしていれば、医療機関が独自の項目を加えることもできます。
Q5. 再同意の6ヶ月期限はシステムで管理できますか?
患者ごとに再同意の期限を管理し、満了前にアラートを出して施術録と紐付ける運用は可能です。治療院HUBはこうした期限管理・患者管理を担い、保険請求(レセプト)は既存のレセコンと併用します。料金・機能の詳細や無料での製品体験は、お問い合わせ・資料請求からご確認いただけます。
まとめ
あはきの療養費は、医師の同意書がなければ受けられません。同意書は患者が主治医を受診して交付を受け、所定様式に沿って支給申請書に添付します。有効期間は6ヶ月(変形徒手矯正術は1ヶ月)で、初療日または再同意日を起点に超過するなら再同意が必要です。口頭同意・無診察同意は認められず、施術報告書は同意書とは別の書類です。様式は厚生労働省・地方厚生(支)局・保険者から入手でき、6ヶ月の期限は施術録との紐付けとアラートで仕組み化すると失念を防げます。
同意書の期限管理を、患者管理と一体で
治療院HUBは整骨院・鍼灸院向けの業務管理SaaSです。患者ごとの再同意の期限管理やアラート、施術録との紐付け、予約・回数券管理・LINE再来案内までを一つに集約し、同意書の期限失念や事務の抜け漏れを防ぎます。保険請求(レセプト)は既存のレセコンがそのまま担うため、乗り換えずに併用できます。
料金・機能の詳細や無料での製品体験は、お問い合わせ・資料請求からご確認いただけます。
著者・監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
整骨院・鍼灸院向け業務管理SaaS「治療院HUB」を開発・運営。治療院の予約・患者管理、保険と自費の運用設計に関する情報発信を行っています。本記事は厚生労働省・地方厚生(支)局の一次資料に基づいて作成しています。


