
整骨院・接骨院の個別指導・監査対応|準備チェックリスト30項目・当日の流れ・指摘されやすい項目【2026年版】
整骨院・接骨院の個別指導・監査対応|準備チェックリスト30項目・当日の流れ・指摘されやすい項目【2026年版】
整骨院・接骨院の個別指導・監査への備えの中心は、施術録・患者の委任署名(骨折や脱臼を扱う場合は医師の同意の記録)・療養費支給申請書(レセプト)の3点に、負傷名・施術期間・部位数・回数の矛盾がないかを日常的に整合させておくことです。個別指導は療養費(受領委任)の請求内容を確認して是正を促す「指導」、監査は不正や著しい不当が疑われるときの「調査」で、根拠は厚生労働省の指導大綱・指導監査要綱です。療養費の支給要件や適正請求の考え方は整骨院の受領委任・療養費(保険)入門にゆずり、本記事は通知後の準備・当日の流れ・結果区分・返還に絞ります。
個別指導・監査とは|集団指導との違いと通知が来る理由
治療院(柔整の受領委任)が受ける手続きは、集団指導・個別指導・監査の3段階です。段階が進むほど内容は重くなります。

集団指導・個別指導・監査の違い(早見表)
3段階の位置づけと主な対象は次のとおりです。
| 段階 | 位置づけ | 主な対象 |
|---|---|---|
| 集団指導 | 制度・請求ルールの説明 | 概ね1年以内に受領委任を承諾・登録した施術管理者等 |
| 個別指導 | 請求内容を確認し是正を促す | 受領委任取扱規程の違反、または保険者・審査委員会・患者からの情報等で指導が必要と判断された施術管理者 |
| 監査 | 不正・不当を調査 | 請求内容に不正・著しい不当の疑い、個別指導結果が著しく妥当適切を欠く(正当な理由なく拒否)、複数患者分の不正情報のいずれかがある場合 |
出典:厚生労働省「柔道整復師に対する指導・監査等について」(指導大綱・指導監査要綱)。治療院が受けるのは上記の3段階です。
個別指導の通知が来る主な理由(選定の考え方)
個別指導の対象になりやすいのは、新規開業から概ね半年〜1年の「新規個別指導」、レセプト1件当たりの平均点数が高い「高点数」、患者や保険者などから指導すべき情報がもたらされた「情報提供」などです(厚生労働省 指導大綱)。何点以上という数値基準は通知で公表されておらず、閾値は断定できません。通知が届いたら、対象患者・持参書類・日時をまず確認します。
準備チェックリスト30項目|施術録・同意・レセプトの3点整合
準備の核は、当日にまとめて整えることではなく、通知が届いた時点で3点の書類間の不整合を洗い出すことです。柔整では、受領委任の委任署名・自署と、骨折・脱臼を扱う場合の医師の同意の記録が中心です(柔道整復師法第17条)。

3区分の主な点検項目(計30項目)は次のとおりです。
| 区分 | 主な点検項目 |
|---|---|
| 施術録(10) | 施術完結の日から5年間保管/負傷年月日を記載/負傷原因(受傷機転)を具体的に記載/負傷名が外傷性として妥当/施術内容・明細を記載/施術日・回数に空白がない/日付や記載の後付け(遡及作成)がない/受領委任分と自費分を区別/転帰(治癒・中止・転医)を記録/患者ごとに継続記録 |
| 患者の委任・同意(10) | 受領委任の委任署名・自署がある/被保険者情報が一致/骨折・脱臼の患者に医師の同意の記録がある/医師の診察を経た同意である/応急手当後の継続に医師の同意がある/同意した医師・医療機関が特定できる/委任の代筆に不備がない/第三者行為(交通事故等)でないか確認/同意日と施術開始日が矛盾しない/打撲・捻挫・挫傷に不要な医師同意を求めていない |
| 療養費支給申請書(10) | 負傷名が施術録と一致/負傷年月日が一致/施術期間・初検日が一致/実日数・回数が一致/部位数(多部位)が妥当/長期・頻回に該当しないか確認/対象外(慢性・疲労回復)を請求していない/部位ごとの負傷原因を説明できる/施術料の計算が算定ルールと整合/記載漏れ・訂正印の不備がない |
施術録の点検ポイント
施術録は施術完結の日から5年間保管し、負傷年月日・負傷原因(受傷機転)・施術内容・施術明細などを記載します(柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準の実施上の留意事項等について=平成9年4月17日 保険発第57号)。受領委任分は自費分と区別し、記載の空白・日付の後付け・負傷名と施術内容の食い違いがないかを点検します。書き方の総論は整骨院のカルテ・施術録の書き方ガイドを参照してください。
患者の委任署名・医師同意の記録の点検
柔整の「同意」は、あはきの6か月ごとの再同意とは制度が異なります。柔道整復師が医師の同意を要するのは脱臼・骨折の患部への施術のみで(応急手当を除く)、打撲・捻挫・挫傷に医師の同意は要りません(柔道整復師法第17条)。点検対象は、受領委任の委任署名・自署の有無と、骨折・脱臼を扱った場合の医師の同意の記録の2点です。医師の同意は書面・口頭いずれでも可ですが、医師が直接診察したうえでの同意が必要です(歯科医師は不可)。
療養費支給申請書との整合点検
施術録と療養費支給申請書(レセプト)で、負傷名・負傷年月日・施術期間・部位数・回数が一致しているかを突き合わせます。療養費の対象は急性・亜急性の外傷性の骨折・脱臼・打撲・捻挫に限られ、慢性の肩こり・腰痛・疲労回復やスポーツ後の筋肉疲労は対象外です(保険発第57号)。柔道整復師は医学的な「診断」はできないため、記録は外傷性の負傷名と受傷機転にとどめます。
個別指導 当日の流れ(タイムライン)
当日は指定日時・場所へ出向き、対象患者の施術録・療養費支給申請書・(該当すれば)医師同意の記録を持参して面談形式で行われます。以下の順序は一般的な進み方の目安で、公的に定められた規定ではありません。

| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 受付・面談開始 | 通知の持参物と対象患者を確認し、進め方の説明を受ける |
| 施術録との突合・質疑 | 施術録と申請書を突き合わせ、負傷名・部位・期間・回数を質疑 |
| 講評・結果区分 | 請求内容の講評を受け、結果の区分が示される |
| 後日の対応 | 改善報告書の提出や、必要に応じた自主返還などの指示に対応 |
受付〜施術録の突合・質疑応答
書類間で説明できない食い違いが指摘につながるため、事前のチェックリスト点検が要になります。
講評・結果区分と後日の対応
質疑のあと講評を受け、結果の区分が示されます。概ね妥当であれば終了、是正を要する場合は経過観察や再指導、不正等が強く疑われる場合は監査へ移行するのが基本です。後日、改善報告書の提出や過誤・不当請求分の自主返還が指示されることがあります。区分名を柔整の正式呼称として断定するのは避け、通知の指示に沿って対応します。
指摘されやすい項目と監査後の措置
指摘されやすい観点は、日常の記録整備でそのまま予防できるものが中心です。

指摘されやすい代表的な観点
指摘が集中しやすいのは次の5つです(頻度の順位づけは公的統計がないため分類として示します)。(1)負傷名・負傷原因が急性の外傷として妥当か、(2)多部位・長期・頻回の施術が続いていないか、(3)受領委任の委任署名や骨折・脱臼の医師同意の記録が揃っているか、(4)施術録の記載に空白や後付けがないか、(5)療養費支給申請書と施術録の内容が一致しているか。特に長期・頻回は、令和6年の療養費見直しで、初検日から5か月超かつ1か月10回以上の施術を継続する患者が償還払い(受領委任からの除外)へ変更できる対象類型に追加されており、回数と月数の管理が重要です(厚生労働省 令和6年 療養費見直し)。
監査後の措置(中止・中止相当・返還)
監査で請求内容に不正・著しい不当が認められた場合は、受領委任の取扱いの「中止」となります。中止前に自主的に受領委任を辞退・廃止した場合などは「中止相当」として扱われます(柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに関する指導監査業務等実施要領(監査編)/受領委任取扱規程)。中止後は原則5年間、再登録・再承諾を受けられません(不正・不当の割合が軽微と認められる場合は2年以上5年未満に短縮されることがあります)。あわせて、不正・不当が確認された請求分は自主返還を含む返還を求められます。なお医科でみられる「戒告」「注意」の呼称をそのまま柔整に当てはめる断定は避け、柔整では「中止(中止相当)」を中心に理解します。
日常の記録整備で「指導に強い治療院」にする
個別指導・監査への最大の備えは、当日ではなく日々の記録整備です。

記録を後付けにしない日次運用
施術のたびに負傷名・受傷機転・施術内容・回数を記録し、申請書との整合をその都度確認しておくと、遡及作成や付け増しに頼らずに済みます。記録の後付けは指摘の対象になりやすく、適正な請求を常態化しておくことが、指導・監査を「乗り切るテクニック」に頼らない最も確実な備えになります。
患者管理システムで3点整合を保つ
施術録・委任や同意の記録・請求内容を患者ごとに紐付けて管理すると、記載の抜けや不整合に気づきやすくなります(患者情報の一元管理は整骨院の顧客管理も参照)。治療院HUBは予約・患者管理・施術記録などを集約する業務管理システムで、保険請求(レセプト)は既存のレセコンが担い、治療院HUBが患者管理を受け持つ役割分担で併用できます(整骨院のレセコンと患者管理の連携を参照)。ただし指導・監査の結果そのものは記録の適正さと保険者・行政の判断によるもので、システムは事務の抜け漏れ対策です。
よくある質問
Q1. 整骨院の個別指導と監査は何が違いますか?
個別指導は療養費(受領委任)の請求内容を地方厚生(支)局・都道府県が確認し是正を促す「指導」、監査は不正・著しい不当が強く疑われる場合の「調査」で、受領委任の中止など重い措置につながることがあります(指導大綱・指導監査要綱)。多くはまず個別指導で、適切に是正すれば監査に至らないのが原則です。
Q2. 個別指導の通知が来たら何を準備すればよいですか?
施術録・受領委任の委任署名(骨折・脱臼は医師の同意の記録)・療養費支給申請書(レセプト)の3点を突き合わせ、負傷名・部位・施術期間・回数に矛盾がないかを点検します。柔整にあはきのような6か月ごとの再同意はありません(柔道整復師法第17条)。当日にまとめて整えることはできないため、通知が届いたら記載の空白・後付け・不整合を先に洗い出します。
Q3. 個別指導の当日はどんな流れですか?何を持参しますか?
指定日時・場所へ出向き、対象患者の施術録・療養費支給申請書・(該当すれば)医師同意の記録を持参して面談形式で行われます。担当者が書類を突合しながら請求内容を質疑し、最後に講評と結果の区分が示され、後日の対応(改善報告など)が指示されます。持参物・対象患者・場所は通知に明記されます。
Q4. 個別指導で指摘されやすい項目は何ですか?
主に5つです。(1)負傷名・負傷原因が急性の外傷として妥当か、(2)多部位・長期・頻回の施術が続いていないか、(3)委任署名や骨折・脱臼の医師同意の記録が揃っているか、(4)施術録に空白や後付けがないか、(5)申請書と施術録の内容が一致しているか、の5点です。柔整では打撲・捻挫・挫傷に医師の同意は不要で、必要なのは骨折・脱臼のみです。
Q5. 個別指導・監査の結果、療養費の返還を求められることはありますか?
求められる場合があります。不適切な請求が確認されると、改善報告に加えて過誤・不当請求分の自主返還を求められ、悪質と判断されれば監査へ移行し受領委任の中止に至ることもあります(受領委任取扱規程・指導監査業務等実施要領)。多くは是正で完了するため、日常の記録整備で3点整合を保つことが最大の予防策です。
まとめ
整骨院・接骨院の個別指導・監査は、施術録・患者の委任署名(骨折・脱臼は医師の同意の記録)・療養費支給申請書(レセプト)の3点整合が備えの中心です。柔整で医師の同意が要るのは骨折・脱臼のみです。監査で不正・不当が認められると受領委任の中止(中止相当)や返還につながるため、日常の記録整備で3点整合を保つことが指導に強い治療院への近道です。
個別指導・監査への備えを、日々の記録整備から
治療院HUBは整骨院・鍼灸院向けの業務管理SaaSです。予約・患者管理・施術記録・回数券管理・LINE再来案内を一つに集約し、施術録や委任・同意の記録、請求内容の整合を患者ごとに管理して、事務の抜け漏れを防ぎます。保険請求(レセプト)は既存のレセコンがそのまま担うため、乗り換えずに併用できます。
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著者・監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)
整骨院・鍼灸院向け業務管理SaaS「治療院HUB」を開発・運営。治療院の予約・患者管理、保険と自費の運用設計に関する情報発信を行っています。本記事は厚生労働省・地方厚生(支)局の一次資料に基づいて作成しています。


