整骨院の交通事故施術 受け入れ体制ガイド|自賠責対応の始め方・受付〜請求〜終了の手順と必要書類【2026年版】
お役立ち情報

整骨院の交通事故施術 受け入れ体制ガイド|自賠責対応の始め方・受付〜請求〜終了の手順と必要書類【2026年版】

2026年7月26日25分で読める

整骨院の交通事故施術 受け入れ体制ガイド|自賠責対応の始め方・受付〜請求〜終了の手順と必要書類【2026年版】

整骨院は、交通事故によるケガ(むちうちなどの外傷)を自賠責保険の対象として施術で受け入れられます。受け入れ体制づくりの要点は3つで、(1)自賠責・任意保険・健康保険の使い分けを整理する、(2)初回に必要書類を揃える、(3)受付から施術・月次の施術費請求・終了までを施術録に基づいて記録する——この流れを院内オペレーションに落とし込むことです。

前提として、自賠責保険の傷害による損害の支払限度額は、治療費・休業損害・慰謝料を合わせて被害者1名につき120万円です(自動車損害賠償保障法施行令第2条)。この120万円は傷害分の枠で、後遺障害や死亡は別枠です。また柔道整復師は診断ができないため、むちうち等の傷病名は医師の診断が前提になります。以下、この位置づけを踏まえた受け入れ体制を、必要書類チェックリストと6マイルストーンで整理します。

整骨院の交通事故施術・自賠責対応とは|3分でわかる基礎

交通事故のケガは原則として加害者側の自賠責・任意保険が対応します。まずは3つの保険の使い分けと、整骨院が施術できる範囲を早見表で押さえてください。

自賠責・任意保険・健康保険の使い分けと整骨院の位置づけを示した早見図
自賠責・任意保険・健康保険の使い分けと整骨院の位置づけを示した早見図

自賠責・任意保険・健康保険の使い分け早見表

交通事故の施術費を「誰が・どう払うか」は、次の3区分で整理できます。

区分主に使う場面施術費を払う側患者の窓口負担主な書類
自賠責保険交通事故のケガ(原則こちら)加害者側の自賠責(傷害枠120万円)一括対応があれば原則なし施術証明書・施術費明細書
任意保険(一括対応)自賠責を含め示談まで一括処理加害者側の任意保険会社が立替原則なし(会社のサービス範囲)保険会社の様式に準拠
健康保険(療養費)過失が大きい・打ち切り後など限定場面いったん患者負担のうえ療養費請求原則3割第三者行為による傷病届

一括対応は自賠責の法定の請求方法ではなく、加害者側の任意保険会社が治療費を医療機関へ直接支払うサービスです。

整骨院が交通事故施術を受けられる位置づけと役割分担

整骨院で扱えるのは打撲・捻挫・挫傷などの外傷で、骨折・脱臼への施術は応急手当を除いて医師の同意が前提です(柔道整復師法)。外科手術や投薬はできません。

診断は医師の業務であり、柔道整復師は診断ができません。整骨院が発行できるのは施術の事実と施術期間を示す施術証明書で、傷病名は医師の診断名を前提とします。「整骨院でむちうちと診断する」といった表現は使わず、負傷部位・受傷機転・施術内容の記録にとどめ、医師の診断・併診と連携します。

療養費(保険)と自賠責はここが違う

健康保険の療養費と自賠責は別制度です。交通事故で健康保険を使う場合は、加害者側へ求償するため「第三者行為による傷病届」を保険者へ提出する必要があります(健康保険法施行規則第65条)。ただし交通事故は原則として加害者側の自賠責・任意保険が対応するため、健保の使用は限定的な場面です。療養費(受領委任)の仕組みは整骨院の受領委任・療養費(保険)入門にゆずり、本記事は自賠責対応の実務に絞ります。

受け入れ体制の始め方|最初に整える3つの準備

受け入れを始める前に、書類・連絡フロー・記録様式の3点を整えておくと、初回対応で迷いません。

交通事故施術を受け入れる前に整える書類・連絡・記録の3準備を示した図
交通事故施術を受け入れる前に整える書類・連絡・記録の3準備を示した図

初回に揃える必要書類チェックリスト4点

初回受付でよく用意するのは、次の4様式です。これらは自賠責の法定統一様式ではなく、院内オペレーション上の書類である点に注意します。

書類主な記入者主な保管・提出先要否の目安
施術同意書患者本人院内で保管院の運用書類(要否は院・保険会社による)
委任状患者本人相手方保険会社へ保険会社・一括対応の有無で異なる
事故受付票(患者情報・事故日)院と患者院内で保管院内オペレーション用
事故発生状況患者本人院内で保管・請求時に参照院内オペレーション用

委任状や同意書の要否は保険会社や一括対応の有無で異なるため、初回に窓口へ確認します。事故受付票は通常の問診票に事故日・相手方情報の欄を加えた形で整えると運用しやすくなります。

相手方保険会社・一括対応窓口との連絡フロー

相手方の任意保険会社が一括対応する場合、患者は窓口負担なしで施術を受けられるのが一般的です。ただし過失割合や事故状況によって扱いが変わるため、「必ず窓口負担ゼロ」と患者へ断定的に説明しないよう院内で統一し、初回に担当者名・連絡先を控えて施術開始を連絡します。

自賠責施術費の考え方と記録様式の整備

自賠責の施術は自由診療扱いで、算定は労災の柔道整復師施術料金算定基準が実務上の目安とされます(厚生労働省 労災保険柔道整復師施術料金算定基準/令和6年10月適用)。ただし自賠責に法定の全国統一料金表や統一様式はなく、保険会社ごとに社内基準・様式が異なります。金額や様式は相手方保険会社に確認しつつ、施術録を請求の根拠にできる形で記録項目をあらかじめ設計しておきます。

受付〜請求〜終了の全手順|6マイルストーンで管理する

受け入れから終了までを、次の6マイルストーンで管理すると取りこぼしが減ります。全体像を1枚で押さえてから、各ステップの要点を確認してください。

交通事故患者の受付から請求・終了までの6マイルストーン受入フロー図
交通事故患者の受付から請求・終了までの6マイルストーン受入フロー図
マイルストーンタイミング院のおもな作業関係書類
1 初回受付来院初日本人確認・事故状況の聞き取り・4書類の回収・保険会社へ連絡事故受付票ほか
2 施術開始初回以降負傷部位・受傷機転・施術内容を施術録に記録施術録
3 通院管理通院期間中通院ペースの記録・中断の把握施術録
4 月次の施術費請求毎月施術日数・内容・費用を明細にまとめ提出施術証明書・施術費明細書
5 症状固定・打ち切り打診経過後医師の判断を確認・記録を継続施術録・医師の診断
6 施術終了・報告終了時終了時の書類整理と最終請求施術証明書・施術費明細書

STEP1 初回受付

来院初日に本人確認と事故状況の聞き取りを行い、4書類を回収して相手方保険会社へ施術開始を連絡します。事故日・相手方・保険会社の情報を1件の患者記録に集約すると、以降の請求まで一貫して参照できます。

STEP2 施術開始

施術開始後は、負傷部位・受傷機転・施術内容・施術日を施術録に継続記録します。施術録は月次請求の根拠になります(記録の電子化は整骨院のカルテ完全ガイドを参照)。

STEP3 月次の施術費請求

施術費は、施術日数・施術内容・費用をまとめ、施術証明書と施術費明細書として相手方保険会社(または一括対応窓口)へ提出するのが一般的です。請求方法には、任意保険会社が立て替える一括対応、被害者が直接請求する被害者請求(自賠法16条)、加害者が請求する加害者請求(自賠法15条)の3つがあり、実務では一括対応が最も多く用いられます。

なお15条・16条の選択や、示談・慰謝料・損害賠償額の交渉は法律事務にあたり、柔道整復師の関与範囲外です(弁護士法72条)。院の説明は施術費の請求実務にとどめ、賠償交渉には踏み込みません。

STEP4 施術終了・報告

終了時は最終の施術証明書・施術費明細書を整え、施術録とあわせて保管します。症状固定の判断は医師が行い、院側は施術の事実と経過を記録として残します。

トラブルを防ぐ運用と、取りこぼさない管理

交通事故対応でつまずきやすいのが、打ち切り打診への向き合い方と、通院・請求の記録漏れです。医療と法律の線引きを守りつつ、記録で取りこぼしを防ぎます。

症状固定・打ち切り打診への備えと記録の継続を示した図
症状固定・打ち切り打診への備えと記録の継続を示した図

症状固定・打ち切り打診への備え

症状固定とは、これ以上治療しても改善が見込めない状態を指し、判断するのは医師です。保険会社からの治療費打ち切りの打診が、そのまま症状固定を意味するわけではありません。むちうちでは事故から約6か月で打ち切りを打診されることが多いとされますが、これは実務上の相場であり法定の期間ではありません。

施術の中断は打ち切りの理由にされやすいため、通院ペースの管理と施術録の継続記録が重要です。ただし通院ペースの記録はあくまで適正な施術と正確な記録のための運用で、通院を増やして請求を膨らませるためのものではありません。打ち切りへの法的な対応は患者本人や弁護士へ、医学的な必要性は医師へと明確に線引きします。

患者管理システムでマイルストーンを取りこぼさない運用

受付〜請求〜終了のマイルストーンは、患者ごとに情報がばらけると取りこぼしが生じます。事故情報・施術録・通院履歴・連絡履歴・月次明細を1件の患者記録に紐付けておくと、請求までを一貫して追えます。

患者管理システムで交通事故対応のマイルストーンを一元管理する運用イメージ図
患者管理システムで交通事故対応のマイルストーンを一元管理する運用イメージ図

治療院HUBは、こうした患者管理や通院履歴・施術記録・連絡履歴・再来案内を一元管理する業務管理システムです。自賠責・健康保険の保険請求(レセプト)機能は持たず、保険請求は既存のレセコンがそのまま担う役割分担で併用します。フロー図の「月次の施術費請求」は院の業務工程であり、治療院HUBが自賠責請求を代行・自動化するものではありません。

よくある質問

Q1. 整骨院で交通事故のむちうち施術に自賠責保険は使えますか?

はい、使えるのが一般的です。頸椎捻挫(むちうち)などの外傷は自賠責の対象で、相手方の任意保険会社が一括対応する場合は原則として窓口負担なしで施術を受けられます。ただし傷病名は医師の診断が前提で、過失割合や事故状況によって扱いが変わることがあります。

Q2. 交通事故患者の初回受付で必要な書類は何ですか?

院内では、施術同意書・委任状・事故受付票(患者情報と事故日)・事故発生状況の4様式を用意することが多く、あわせて相手方保険会社の担当者名・連絡先を控えます。これらは自賠責の法定統一様式ではなく院の運用書類で、委任状や同意書の要否は保険会社や一括対応の有無で異なるため、初回に窓口へ確認します。

Q3. 健康保険(療養費)と自賠責はどう使い分けますか?

交通事故のケガは原則として加害者側の自賠責・任意保険が対応します。健康保険を使う場合は、加害者側へ求償するため「第三者行為による傷病届」を保険者へ提出する必要があります(健康保険法施行規則第65条)。健保の使用は過失が大きい場合や打ち切り後など限定的な場面です。

Q4. 整骨院の交通事故施術費はどのように請求しますか?

施術日数・施術内容・費用をまとめ、施術証明書と施術費明細書として相手方保険会社(または一括対応窓口)へ提出するのが一般的です。自賠責は自由診療扱いで、算定は労災の柔道整復師施術料金算定基準が実務上の目安とされます。柔道整復師は診断ができないため、傷病名は医師の診断に基づく点に注意します。

Q5. 保険会社から施術費の打ち切りを打診されたらどうすればよいですか?

打ち切りは保険会社が一方的に確定させるものではなく、症状固定の判断が根拠になります。症状固定を判断するのは医師です。施術の中断は打ち切りの理由になりやすいため、通院ペースの管理と施術録の継続記録が重要です。示談や賠償に関する判断は、患者本人や弁護士へ相談する事項になります。

まとめ

整骨院は交通事故(自賠責)の施術を受け入れられますが、体制には準備が要ります。3つの保険の使い分けを整理し、初回に必要書類4点を揃え、受付〜施術〜月次の施術費請求〜終了を施術録に基づいて記録します。傷害の支払限度額は被害者1名につき120万円(傷害枠・自動車損害賠償保障法施行令第2条)、請求方法は一括対応・被害者請求(自賠法16条)・加害者請求(自賠法15条)の3つです。柔道整復師は診断ができず傷病名は医師の診断が前提、示談・慰謝料交渉には踏み込まない、症状固定は医師が判断する——この線引きを守り、適正な施術と正確な記録で体制を整えましょう。


交通事故対応のマイルストーンを、患者管理と一体で

治療院HUBは整骨院・鍼灸院向けの業務管理システムです。交通事故患者の事故情報・施術録・通院履歴・連絡履歴・月次明細を1件の患者記録に紐付け、受付〜請求〜終了の取りこぼしを防ぎます。自賠責・健康保険の保険請求(レセプト)は既存のレセコンがそのまま担うため、乗り換えずに併用できます。

料金・機能の詳細や無料での製品体験は、お問い合わせ・資料請求からご確認いただけます。

治療院HUBに問い合わせる →


著者・監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)

整骨院・鍼灸院向け業務管理システム「治療院HUB」を開発・運営。治療院の予約・患者管理、保険と自費の運用設計に関する情報発信を行っています。本記事は国土交通省・厚生労働省・自動車損害賠償保障法などの一次資料に基づいて作成しています。

関連記事

関連記事