治療院の施術同意書テンプレート|鍼・整体のリスク説明の作り方と必須項目【2026年版】
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治療院の施術同意書テンプレート|鍼・整体のリスク説明の作り方と必須項目【2026年版】

2026年8月9日23分で読める

治療院の施術同意書テンプレート|鍼・整体のリスク説明の作り方と必須項目【2026年版】

治療院の施術同意書(インフォームド・コンセント)は、施術内容とそのリスクを患者に説明し、署名で同意を得ておくための患者向けの様式です。作り方の基本は、共通の必須項目に鍼灸・整体など施術別のリスク説明を加え、同意取得日を施術録に紐付けて保存する3点に集約できます。

整理しておきたいのは、この施術同意書が「法律で作成を義務づけられた様式」ではない点です。柔道整復師法・あはき法に作成義務の明文はなく、書面化が推奨される根拠は民事上の説明義務やトラブル予防にあります。また、名前が似ている療養費の「医師の同意書」は発行者も目的も異なる別の書類です。

施術同意書(インフォームドコンセント)とは?療養費の「医師の同意書」との違い

施術同意書は、施術所が用意して患者が署名する任意の様式です。一方、はり・きゅう等の療養費(保険)請求で使う「医師の同意書」は、保険医が交付する別の書類です。混同を避けるため、下の比較表で整理します。

施術同意書(患者向けIC)と療養費の医師の同意書の違いを並べて比較した図
施術同意書(患者向けIC)と療養費の医師の同意書の違いを並べて比較した図

施術同意書(患者向けIC様式)の定義と目的

施術同意書は、施術の内容・目的・想定されるリスクを患者に説明し、理解と同意を書面で残す様式です。患者が納得して施術を受けられるようにし、後のトラブルを防ぐことが目的です。なお、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・整体師はいずれも診断を行えません(診断は医師の独占業務。医師法第17条)。そのため同意書にも傷病名の断定や「治す」といった表現は用いず、負傷部位・自覚症状・施術内容・施術効果の範囲で記載します。

混同しやすい療養費の「医師の同意書」との違い(比較表)

療養費の「医師の同意書」は、はり・きゅう等の保険請求にあたり医師が発行する書類で、支給の前提に位置づけられます(対象6疾患や6ヶ月ごとの再同意など全体像は鍼灸院の保険適用と療養費請求ガイドにゆずります)。患者が署名する施術同意書とは用途が異なります。

比較項目施術同意書(患者向けIC)医師の同意書(療養費用)
目的施術内容・リスクの説明と同意はり・きゅう等の療養費(保険)請求の要件
用意・署名施術所が用意し患者が署名保険医(医師)が交付
法的位置づけ法定様式・作成義務の明文なし(任意)療養費支給の前提(厚生労働省通知)
主な対象自費を含むすべての施術保険対象の6疾患 等

なぜ治療院に施術同意書が必要か|法的位置づけとトラブル予防

治療院に施術同意書の作成を課す明文の法令義務はありませんが、説明と同意を書面で残すことはトラブル予防と信頼構築に直結します。関連する書類とセットで考えると設計しやすくなります。

施術同意書・問診票・施術録・個人情報同意の書類セット全体像を示した図
施術同意書・問診票・施術録・個人情報同意の書類セット全体像を示した図

法定様式・義務ではないが説明義務・トラブル予防で重要

柔道整復師法・あはき法に、患者向け施術同意書の作成義務の明文はありません。医療法第1条の4第2項は説明と同意の努力義務を定めていますが、これは病院・診療所などの医療提供施設と医師等を対象とする規定で、治療院(施術所)を直接規律する明文ではありません。つまり「法律で義務」とは言えません。もっとも施術には身体への侵襲やリスクが伴うため、民事上の説明義務やトラブル予防の観点から、書面での説明と同意を残すことが推奨されます。

問診票・施術録・個人情報の同意との書類セット全体像

施術同意書は初診時の書類一式の一部として設計します。来院動機や既往症を聞く問診票、施術の経過を残す施術録、個人情報の取り扱いへの同意を、ひとつのセットで用意します。とくに患者の病歴は個人情報保護法の要配慮個人情報にあたり、取得には原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(個人情報保護法第2条第3項、個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者向けガイダンス」)。利用目的の明示と取得同意は同意書に含めると整合的です(詳しくは治療院の個人情報保護対応ガイド)。

施術同意書の必須記載項目【チェックリスト早見表】

必須記載項目は、全治療院に共通する項目と、施術別に足すリスク説明項目の2階建てです。次の早見表を様式づくりのたたき台にしてください。

全治療院共通・鍼灸院・整体の施術同意書の必須記載項目チェックリスト早見表
全治療院共通・鍼灸院・整体の施術同意書の必須記載項目チェックリスト早見表
区分記載する項目
全治療院 共通施術者・施術所名/施術内容と目的/想定される主なリスク・副反応/費用(自費・保険の別)/個人情報の利用目的/患者の署名・日付/同意を撤回できる旨
鍼灸院 追加刺鍼に伴う内出血(皮下出血)/まれに起こり得る気胸・折鍼・神経損傷・感染/施術後の一時的なだるさ/体調変化があれば申告する旨
整体・手技 追加いわゆる好転反応(もみ返し・倦怠感)/既往症・体調による禁忌/強い手技による筋・関節への負担/国家資格施術ではない旨(該当する場合)

全治療院共通の必須項目

どの施術でも共通して入れるのは、施術者・施術所の情報、施術の内容と目的、想定される主なリスク、費用、個人情報の利用目的、患者の署名・日付です。患者がいつでも同意を撤回できる旨を明記すると信頼につながります。費用欄は自費か保険かの別を明確にし、施術同意書が保険適用や療養費請求の可否を左右しないことも区別します。

鍼灸院向けの追加項目|刺鍼リスク(内出血・気胸)の説明

鍼灸院では、刺鍼に伴う内出血(皮下出血)や施術後の一時的なだるさに加え、まれに起こり得る気胸・折鍼・神経損傷・感染などの有害事象を記載します。これらは医学的にも妥当なリスク項目として整理されています(公益社団法人全日本鍼灸学会『鍼灸安全対策ガイドライン2025年版(改訂第2版)』)。重篤な有害事象はまれで、安全対策に沿った施術では発生の可能性は非常に低いとされます。危険性を過度にあおらず、可能性と発生時の対応方針を併記し、体調変化があれば申告してもらう旨も添えます。

整体・手技療法向けの追加項目|好転反応・禁忌の説明

整体・手技療法では、いわゆる好転反応(もみ返し・倦怠感)や、既往症・体調による禁忌、強い手技による筋・関節への負担などを説明します。整体・カイロプラクティックは法的な資格制度のない民間療法で、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復の国家資格とは枠組みが異なります(厚生労働省「医業類似行為に対する取扱いについて」)。頚椎への急激な回転伸展操作などは危険が大きいと公的にも問題視されており、無理な手技を避け、国家資格施術ではない旨を必要に応じて明記します。

施術同意書の作り方【5ステップ】

様式は、テンプレートを土台に自院の施術へ合わせるのが近道です。次の5ステップで、説明から署名・保存までを運用に落とし込みます。

施術同意書の作り方5ステップ(テンプレ選定・リスク棚卸・説明・署名・施術録紐付け)のフロー図
施術同意書の作り方5ステップ(テンプレ選定・リスク棚卸・説明・署名・施術録紐付け)のフロー図

ステップ1〜2:テンプレート選定と自院の施術・リスクの棚卸

ステップ1で共通項目をそなえたテンプレートを選び、ステップ2で自院の施術メニューを洗い出し、リスク・副反応・禁忌を様式へ反映します。鍼なら気胸や内出血、整体なら好転反応や強い手技の負担というように、施術別の追加項目を前掲のチェックリストから組み込みます。診断的な表現や効果の断定を含めないことも確認します。

ステップ3〜5:説明→署名取得→施術録に同意取得日を紐付けて保存

ステップ3で初診時に患者へ内容を口頭で説明し、ステップ4で理解を確認したうえで署名・日付を記入してもらいます。ステップ5では、同意取得日と使用した様式の版を施術録(カルテ)に紐付けて保存します。この流れを受付フローに組み込むと、説明漏れや署名のもらい忘れを防げます。

同意取得の運用と保存|施術録・電子カルテとの連携

同意書は、いつ・どの様式で同意を得たかを追える状態で保存してはじめて意味を持ちます。施術録や電子カルテと連携させ、更新や照会に耐える運用にします。

同意取得日を施術録・電子カルテに紐付けて保存し再同意を管理する運用フロー図
同意取得日を施術録・電子カルテに紐付けて保存し再同意を管理する運用フロー図

同意取得日を施術録/CRMに紐付ける運用

同意取得日・施術内容・使用様式の版を施術録(カルテ)や患者管理システムに紐付けると、更新のたびに履歴をたどれます。紙のファイルだと取得状況が見えづらくなりがちですが、電子カルテや患者管理システムで一元管理すれば、同意の有無や取得日を患者カルテから即座に確認でき、照会にも正確に備えられます。

再同意・様式更新のタイミングと保存期間(5年)の考え方

施術メニューやリスク説明を変えたときは様式を更新し、必要に応じて再度同意を得ます。保存期間については、柔道整復の受領委任(保険)を扱う場合、施術録は施術完結の日から5年間保管するとされ、施術同意書も同じ基準で管理すると整合的です(柔道整復師の療養費 受領委任の取扱い。詳しくは整骨院の施術録・カルテ管理ガイド)。ただしこの5年は受領委任を扱う場合の取扱い基準で、自費のみの施術録に一律の法定保存年数が定められているわけではありません。

よくある質問

Q1. 治療院に施術同意書は法律で義務ですか?

柔道整復師法・あはき法に、患者向け施術同意書の作成義務の明文はありません。医療法第1条の4第2項の説明・同意の努力義務は医師等・医療提供施設向けで、治療院に直接適用される明文ではないため「法律で義務」とは言えません。ただし施術内容とリスクの説明・同意は説明義務やトラブル予防の観点から重要で、書面として残すことが推奨されます。

Q2. 「施術同意書」と療養費の「医師の同意書」は何が違いますか?

患者向けの施術同意書は、施術内容とリスクを説明し同意を得る任意様式です。一方の「医師の同意書」は、はり・きゅう等の療養費(保険)請求で医師が発行する別の書類で、目的も発行者も異なります。名前は似ていますが用途が違うため混同に注意します。

Q3. 鍼灸院の施術同意書に必ず入れるべきリスク項目は?

内出血(皮下出血)や施術後のだるさに加え、まれに起こり得る気胸・折鍼・神経損傷・感染などの有害事象を、発生の可能性と対応方針とあわせて記載します(全日本鍼灸学会『鍼灸安全対策ガイドライン2025年版』)。体調変化があれば申告してもらう旨も明記します。

Q4. 整体・手技療法の同意書では何を説明すべきですか?

いわゆる好転反応(もみ返し・倦怠感)や、既往症・体調による禁忌、強い手技による筋・関節への負担などを説明します。整体は国家資格制度のない民間療法のため、国家資格施術ではない旨も明記します。施術中・施術後に痛みや体調変化があれば申告してもらう旨も入れておきます。

Q5. 施術同意書はどのように保存すればよいですか?

同意取得日を施術録(カルテ)に紐付けて保管します。柔道整復の受領委任(保険)を扱う場合、施術録の保存期間は施術完結の日から5年とされ、施術同意書も同じ基準で管理すると整合的です。電子カルテや患者管理システムで一元管理すると更新や照会が容易です。

まとめ

治療院の施術同意書は、施術内容とリスクを説明し署名で同意を得る患者向けの様式です。法律上の作成義務はありませんが、説明義務やトラブル予防の観点から書面化が推奨されます。共通の必須項目に鍼灸・整体の施術別リスク説明を足し、同意取得日を施術録に紐付けて保存します。療養費の「医師の同意書」とは別物で、患者の病歴は要配慮個人情報にあたる点も押さえます。


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著者・監修:依田尚人(YDAIコンサルティング株式会社 代表)

整骨院・鍼灸院向け業務管理SaaS「治療院HUB」を開発・運営。治療院の予約・患者管理や書類運用の情報発信を行っています。本記事は柔道整復師法・あはき法・医療法・個人情報保護法などの法令や、厚生労働省・関係学会の一次資料に基づき作成しています。

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